美と伴に紀ノ国屋 千 詩集
- 著者
- 紀ノ国屋 千
- サイズ
- 四六判
- 頁
- 256ページ
- 製本
- ソフトカバー
- ISBN
- 978-4-86000-489-7 C0092
- 発行日
- 2023/03/01
- 本体価格
- 2,000円
詩の原点・世界を俯瞰する眼
ウリヤーノフの心の鏡に
煌々と可憐な光を投げかけた
細く痛々しい茎ではあった
狂気の大地を越えて
生きた
青シダはドクダミは
皆んな皆んな生きた
土塊汚水、亀裂破切
どんな激怒を草たちは秘めても
今日の朝を生きている
(「―人民の中に飛び立つ鳩のために―」より)
勇敢に飛び続けるウリヤーノフこそは、様々な困難にもめげず
詩の心を持ち続けた詩人を象徴する姿なのでしょう。
この詩の中に詩の原点が託されている思いがします。
そう感じるのはおそらく私だけではないでしょう。
(左子真由美)
⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉
輝き
もしここが
夜明け前の洋上だったら
私は
この光に何を祈ろう
もしここが
月の海流だったら
わたしは……
この影に何を呟いてみよう
かつて
私は……
赤道上のある島で影を失った
その驚きで
眼球が
心臓の中でモミクチャになった
シャミッソーの話どころではない
光と影は
生きている宇宙なのだ
⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉⧉
● 著者について ●
筆名:紀ノ国屋 千(きのくにや せん)
本名:神賀 重善(かみが しげよし)
1943年5月15日 京都市生まれ
1965年 全電通詩人集団入会・詩誌「全電通詩人」15~93号(1986年終刊)
1982年6月 近代文芸社日本詩人文庫参加
かみがしげよし詩集『かぜの物語』発刊
2003年12月 「新・現代詩」№1冬号より「新現代詩」17号(2017年)まで参加
2009年12月 「関西詩人協会」入会、現在に至る。
所属詩誌「竹の花文芸」(1999年より)
2010年4月 おもちゃ病院を立ち上げる。おもちゃの修理と子どもの喜びは
~現在 立体詩である、の信念のもとおもちゃDr.活動を継続中。