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幻の大殿堂と男の田原坂

著者
炎筆仁
サイズ
四六版
156ページ
製本
ソフトカバー
ISBN
978-4-86000-272-5 C0093
発行日
2014/01/26
本体価格
1,500円

個数  

男の命のドラマ
―――――――――――――――――
其処に何かが在るから何かが生まれる

人は何のために生きるのか――
昭和の初期から平成を一直線に生き抜いた、
一人の九州男児を追った人生ドラマ。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 冬休み、学校を捨てて家に帰ると神棚にあった紙幣五枚を握りしめ、後先も考えずそのまま家を飛び出した。
 ジョージまさに一七歳、古くは元服の年代だが、心の中は天涯孤独の青春真只中、積もり積もった養父への反感と古いしがらみを捨て、ただ自身と未来を信じ一直線に着の身着のまま、育ての親の頑固さを映し挑戦するかのように家を飛び出した。
 しかしこれが、厳愛で我が子以上に育ててくれた養父との最後の別れになるとは、ジョージは想像だにしなかった。