美しい本作りならおまかせ下さい。自費出版なら「竹林館」にご相談下さい。

出版社 竹林館  ホームへ戻る

  • お問い合わせ06-4801-6111
  • メールでのお問い合わせ
  • カートの中を見る
ホーム > 詩歌 > 真摯の刻(とき)

真摯の刻(とき)吉田國厚詩集

著者
吉田國厚
サイズ
A5判
136ページ
製本
ハードカバー
ISBN
978-4-86000-457-6 C0092
発行日
2021/10/01
本体価格
1,800円

個数  





よきこともなくをはるみのひとりかげ

 

ありし真摯のときをさまよふ

 

 

――プロローグ

 

 

 

吉田さんの詩には、天性の骨太さに加えて、事象を掴む鍛えられた

ことばの腕力があり、大地を踏まえることばの脚力がある。本詩集

の通奏低音は、「諦念」ではなく、今生を生き抜く先の「覚悟」で

あると言えるだろう。そして「詩は生き延びよ! 」という声までも

聞こえるようだ。

 

(左子真由美)

 





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 

 

 



僕の平穏はもうなかった

現実には一度もなかった団欒の図

ああ怨みよ とり憑け

怨みよ 狂(ふれ)

 

生い繁った樹々が

中央を奥に向かう一本の道に覆いかぶさる風景画は

同じ作者が兵営に発()つ一日前に描きあげたものだ

その真直ぐな道は

画面を真横に流れる大河に

没している

 

この絵もまた現実にない空想の風景であるが

(いかり)と怨(うらみ)

家族に遺した彼の精神に因って

僕はようやく精神に平衡をとりもどした

 

 

「戦没画学生の絵」より

 



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 
 
 
        著者について
 
       吉田國厚(よしだ・くにあつ)
 
       1940年3月3日生まれ。
       1995年、朝日カルチャーセンター「うたう詩を書く」教室・
       島田陽子講師から江口節講師「詩を読む 詩を書く」教室に通う。
       のち、中島和子講師「たのしい童話の書き方」教室、上辻蒼人講師「健やか交流塾俳句教室」に通う。
 
       著書 詩集『太郎を眠らせ』(2013年 編集工房ノア)