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ホーム > ポエム・デュバーン (新書版詩集) > 潮騒の響きのように

潮騒の響きのように牛島富美二詩集

著者
牛島富美二
叢書名
ポエム・デュバーン17
サイズ
新書
96ページ
ISBN
978-4-86000-110-9 C0292
発行日
2006/09/20
本体価格
800円

個数  

   永遠に繰り返される潮騒の響きのように、
   押し寄せてくる日本の、地球の不気味な音。
   切り裂くように、生命の羽ばたく音がする。
   この詩集は現代の防人の歌であり
   たぐいまれなる森羅万象への恋歌である。

深草のみやこなまり

   そのみやこなまりに
  深草の少将が百夜(ももよ)焦がれ
  焦がれた胸内を鎮めるために
  一つの歌を唄う

  所は場末のスナック
  歌は酒に乗る
  女は映画女優もどき
  酒に乗った歌を両掌で抱き占め
  歌手の口に押し込む
  深草の草のように
  しだれて長い髪で

  歌手の口から歌を巻き取る
  父は大戦飛行士
  女の髪は飛行士のマフラーとなって
  酒にただれたスナックを飛びめぐる
  マフラーは点滅する灯りに
  むせ返るように漂い
  少将の首筋を絡めとる
  みやこから三〇〇里
  こころを足して一〇〇〇里

  一日千秋、千里も一里に縮めて
  夢でなければとつぶやけば
  ふっと灯りがまばゆい幻