桜の季節根本昌幸詩集
- 著者
- 根本昌幸
- サイズ
- A5変型判
- 頁
- 120ページ
- 製本
- ソフトカバー
- ISBN
- 978-4-86000-413-2 C0092
- 発行日
- 2019/07/01
- 本体価格
- 1,300円
根本昌幸さんは、不慮の事故によって娘夫婦を亡くし、
原発事故によって故郷浪江を追われ、70代で高校生の孫を
育てている。それでも、『桜の季節』は、不幸せではなく、
幸せについての詩集である。根本さんの書く幸せは、見る、
聴く、働く、食べる、飲む、育てる、話す、交わる、懐かしむ、
出会う、別れる、悲しむ、苦しむ、秘める、思う、願う、
祈る――、生を満たす様々な行為と出来事の全てである。
柳 美 里
<詩を書く鬼でありたい>という詩人は書き続ける――。
「嘘の匂い」「生命のうた」「竹というやつ」など36篇。
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鬼
鬼という物の怪が
おるといいます。
ほんとうにおるのでしょうか。
鬼というのは
人の心の中に
密かにおるのじゃないのか と
常々思っておりました。
わたくしの中にも棲んでいて
時々激しく暴れる者。
あれではないかしら。
わたくしは静かな性格です。
そうして静かに
生きてきました。
これからもそうでしょう。
わたくしは静かに生きていきます。
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● 著者について ●
根本 昌幸(ねもと まさゆき)
1946年 福島県浪江町生まれ。
中学時代より詩作を始める。
1965年 詩誌「ぺん」「北国」、文芸誌「蒼海」などを創刊する。
「あいなめ」「亀ト」「卓」「エリア」「銀河詩手帖」などを経て、
現在「日本海詩人」「PO」「コールサック」「腹の虫」「ぴちぽち」などに詩を発表。
詩のほかに、童謡、歌謡、合唱曲などの作詞を多数手掛ける。
日本ペンクラブ、日本詩人クラブ、日本音楽著作権協会、関西詩人協会、福島県現代詩人会、各会員。
著書に詩集『海へ行く道』『昆虫詩篇』『しろいかなしみのうた』『トーテムポールの下で』
『昆虫物語』『別離の日』『荒野に立ちて―わが浪江町』『昆虫の家』など。