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白い虹リジア・シュムクーテ詩集

著者
リジア・シュムクーテ 著/薬師川虹一 訳
サイズ
四六判
168ページ
製本
ソフトカバー
ISBN
978-4-86000-376-0 C0098
発行日
2018/04/01
本体価格
1,800円

個数  

 

 

Lidija Šimkutė

Baltos vaivorykštės

White Rainbows

 

 

リジアさんがいつも見詰めているのは、与えられた枠組みや自分で取り上げた枠組みの中の世界ではなく、
それらの枠の間の表現しえない無の世界、空間であることを、この詩集の本体である彼女の詩が始まるま
えの扉の頁にウンガレッティの詩行を引用していることからも判る。本当に表現したいことを表現しよう
として私たちは何時も苦闘している。私たちが使う文字は時に私たちの意に反してその文字自体が持って
いる様々な意味を表してくるのだ。リジアさんは文字を扱う詩人としてその苦しみを率直に表現している
詩人だと私は思う。   (訳者「あとがき」より)

 

 

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  WHITE RAINBOWS

 

   in night sky

   soften sleep waves

             in dreams

 

   can we decipher

   the white page

   on waking

 

   a place within a place

   in absence of place

 

   I'm committed to error

 

   uncommitted to time

 

白い虹が

 

夜空に懸かり

夢の世界で優しく

   波を眠らす

 

僕たちは目覚めて

その白い頁を

読み解けるか

 

場所の内なる場所

不在の場所

 

時間に溺れず

 

過失に溺れる

 

 

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● 著者について ●

 

リジア・シュムクーテはリトアニアのサモギチアという小さな村に生まれた。第二次世界大戦後彼女は幼少期をドイツの難民キャンプで過ごし、1949年にオーストラリアに辿りついた。その後シカゴのリトアニア文化センターでリトアニア語、民話、文学、へと研究を拡げ1977,87年にはリトアニアのヴィルニス大学に在籍し、ダイエット療法士としても活躍した。退職後リトアニアとオーストラリアの二国間で活躍の場を広げ、広く世界を巡って仕事を始めた。
シュムクーテはリトアニア語と英語とで著作し、オーストラリアやその他いろいろの国で文芸誌やアンソロジーなどを出版している。『世界現代詩年鑑』(2008, 2010)『ターンロウ・オーストラリア現代詩選2013』(USA)などがある。彼女の詩は16カ国語に翻訳されている。彼女はまたオーストラリの現代詩や散文作品をリトアニア語に翻訳し、リトアニアの現代詩を英語に翻訳している。また自作の詩をいろいろな国での国際現代詩祭で朗読するなど多方面で活躍を続けている。 リトアニアやオーストラリアのみならずヨーロッパ諸国はもちろんリトアニアで振り付け師たちは彼女の詩を朗読付きで現代ダンスの公演に使っている。
リトアニアやオーストラリアの作曲家たちも彼女の詩を使い、リトアニア、ヨーロッパ諸国、およびオーストラリアの様々な楽団を使って演奏している。
2015年にはマージョリ・スミスの演奏の前で朗読した、1)『白い影』はシドニーオペラハウスでのプレミアム・ショウで、2)『鼻歌う海原』はThe Flute Tree 小劇場で行われた。様々な賞の内でも、『私の父』は2004年“ミレニアム記念オーストラリア詩祭"予選通過した。シュムクーテはオーストラリア政府および、オーストラリア・リトアニア協会から文学助成金を受けている。