二人のスケッチノート 地球のかたすみで原田 慶/後 恵子詩集
- 著者
- 原田 慶/後 恵子
- サイズ
- A5判
- 頁
- 144ページ
- 製本
- ソフトカバー
- ISBN
- 978-4-86000-369-2 C0092
- 発行日
- 2017/09/10
- 本体価格
- 1,800円
原田 慶 詩集 * 風草
×
後 恵子 詩集 * モザイク都市
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二人の個性がかもしだす
あたらしい詩集のかたち
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ずっと二人で歩いてきた
いつもいっしょにおなじ道を歩いた
野の道 山道 古い道 舗装された道
そして今日も二人で歩いてゆく
私は歩行車につかまって
背中をまるめ
ざっざっざっと靴音をひきずって
車の方向が定まらず
左へ寄りすぎると
あなたが手をそえて右へ押し戻してくれる
車がはやすぎて足がついてゆかないと
ちょっと車をおさえてくれる
そうして二人で歩いてゆく
私たちはすべてがおなじとはいえなかったけれど
いつも離れることはなかった
(中略)
私たちの後姿は
寂しさか哀しみか それとも安らぎか
なにを語っているだろう
二人の影は今日も
風草の道に記憶され 通りすぎる
―――「風草」より
● 原田 慶(はらだ めぐみ)
1935年 滋賀県生まれ
既刊詩集 『野の饗宴』(1966年)
『十一月の庭』(1993年)
『芳野川』(1995年)
『邯鄲の里』(2006年)
所属 「プライム」「こだま」・関西詩人協会
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プロペラ機のコックピットは
拡大されたパノラマ
氷の峰が迫ってくる
ヒマラヤの峰は凛として
世界を見ている
陽が白い雪にあたると
神々しいオレンジの光を勇壮に放ち
人びとは頭を垂れる
自然は人間より偉大
そんな神の声を聞いたと思ったが
辺りは静寂だけ
雪の下に忍耐の生命を隠し
地上のすべての生き物を見つめている
―――「ヒマラヤ」
● 後 恵子(うしろ けいこ)
1945年生まれ
詩集 『ファラオの呪い』『文字の憂愁』『レクイエム』
『カトマンズのバス』
翻訳詩集 『手回しオルガン弾き』(低ドイツ語)
『秋の構図』(共訳、高ドイツ語)
著書 『ヨーロッパの生活と文化』
『ネパールの生活と文化―教育支援(NGO)を始めて』
翻訳書 『風がわりなペット』『ゴゴは踊るラバ』
『どうぶつのなる木』ほか
「リヴィエール」同人・詩とエッセイ「プライム」主宰