無明の窓でおしだとしこ詩集
- 著者
- おしだとしこ
- サイズ
- A5判
- 頁
- 84ページ
- 製本
- ソフトカバー
- ISBN
- 978-4-86000-341-8 C0092
- 発行日
- 2016/10/01
- 本体価格
- 2,000円
この詩集の「無明」とはその光を知る詩人に映る自他の無明であり、
人生を誠実に歩んできたもののみに許される救いと諦念が、ここに
詩集の静かな通底音として響いている。精選された詩語を介して、
遠くからやってくる祈りや読経にも聞こえるその音と、暗闇を通し
てくる光のようなものが、読者にも爽やかに伝わってくるだろう。
(左子真由美)
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小さな窓からながめていた空は
いくつもの放物線を描いたり反転したり
いつからとなく幾何学模様で切り取られている
無垢をぬぎすてたものは
やがていくつもの仮面をかぶることを
身につけて 虚偽を生きるしかないのか
宇宙から眺めるこの惑星は
青くかがやいているらしいけれど
地上は煙霧でおおわれている
(「無明の窓で」より)