何かが語られるリジア・シムクーテ詩集
- 著者
- リジア・シムクーテ・著/薬師川 虹一・訳
- サイズ
- A5変型
- 頁
- 148ページ
- 製本
- ソフトカバー
- ISBN
- 978-4-86000-329-6 C0098
- 発行日
- 2016/04/15
- 本体価格
- 1,800円
SOMETHING IS SAID
(何かが語られる)
俳句のように端正な詩
PAPER SOAKS
the remains
of an instant
I trade
my ribcage
for the word
言葉の言い残したものを
ページの空白が
吸収する
私は
肋骨の内側を
言葉と取り引きする
この作品が、この詩集を読み解くカギとなるだろう。言葉をいくら並べても、言いつくせないものが残る。それがページの空白の部分に漂っているのだろう。西洋の絵画は画面を全て色と形で覆い尽くすが、日本の絵画には空白の部分がたくさん残されている。空白は何も無いただの空白ではなく、そこにこそ色と形では表わし得ないものが表現されているのではないだろうか。(中略)リジアさんの詩は、謎解きの面白さだけではなく、常に挑発的だ。
訳者・薬師川虹一(同志社大学名誉教授)
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著者について
リジア・シムクーテは1942年、リトアニアのサモギチアに在る小さな村に生まれた。第二次大戦後、彼女は難民としてドイツの難民キャンプでその幼少期を過ごした。1949年、彼女はオーストラリアに辿りついた。さらに彼女は通信教育でアメリカのシカゴのリトアニア語学校で(1973~1978)、リトアニアの言語、文学、民間伝承などを学び、1977年と1987年にはリトアニアのヴィルニス大学に学ぶ。彼女は栄養学の専門家として働いていた。2001年に退職後、彼女は生活を二つの国に分けている。彼女の旅行は多岐にわたる。シムクーテの詩集は、1978年『第二希望』/1982年『記憶の錨』(USA)、1991年『風と根っ子』(リトアニア)がリトアニア語;2000年『太陽がサッシを彩る』(USA)は英語、1999年『沈黙の空間』/2003年『きらめく風』/2008年『想いと磐』(リトアニア)、2000年『白い影』(オーストリア)は、英語とリトアニア語の2ヵ国語で書かれている。シムクーテはリトアニア語と英語とで著作し、オーストラリア、リトアニア、その他モンゴル人民共和国の『世界詩集年鑑』(2008,2010)、『オーストラリア現代詩選』(2013)といった様々な文芸誌やアンソロジーに発表している。彼女の詩は15ヵ国語に翻訳され、また彼女はオーストラリアの詩や散文をリトアニア語に翻訳している。シムクーテはまた、様々な国や様々な国際詩祭などで自作の朗読をしている。リトアニアやオーストラリアの作曲家や音楽家たちは様々な国でのアンサンブルの構成の中に彼女の作品を組み込んでいる。 2002年には、彼女の詩がオーストラリアやリトアニア、およびヨーロッパの諸国で朗読され、現代ダンスの振り付けがされている。2005年には、彼女の詩集『沈黙の空間』が作者の朗読、日本の尺八、パーカッションと共にモダーンダンスが振り付けられて、舞台に上演された。彼女の詩「私の父」は『2004年オーストラリアミレニアム詩祭の詩』の予選を通過した。また彼女は『ドラスキニンカイ秋の詩祭2009』における俳句コンペで表彰者の一人となった。リジア・シムクーテは南オーストラリア州文芸委員会やオーストラリア・リトアニア財団などから様々な助成金を受けている。