カメラ・オブスキュラ尾崎まこと詩集
- 著者
- 尾崎まこと
- サイズ
- A5変形
- 頁
- 180ページ
- 製本
- ハードカバー
- ISBN
- 978-4-86000-137-7 C0092
- 発行日
- 2007/11/13
- 本体価格
- 2,000円
たとえば、空の向こうがわ
詩は「何か」ではなく、「誰か」である。
新しい抒情へ 詩のルネサンス ☆.。.:*・゜
-=-=-=-=-=-「カメラ・オブスキュラ」とは
ラテン語で「暗い部屋」の意味、カメラの語源
小孔またはレンズのついた暗箱で、写真機発明以前、
画家が写生に用いた。
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尾崎の詩はほとんど暴力的なまでに優しい。
<われ―それ>の享楽のため、時代と散文が放棄した
<われ―なんじ>の根源語を回復する途方もない試みに
一行一行が圧倒的な筆力をもって応えている。
小説より面白い、哲学より深い、恋愛より激しい。
からっぽの運動場を
浮雲の影が
通り過ぎている
思い出が
失われてゆくスピードで
午後
山から風が降りてきて
教室ではお腹を
空でいっぱいにした子どもたちが
木立のようにざわめくことがある
てんでばらばらに
象さんが 亀さんが
キリンさんがね
アリさんがね
などと嘘を
正直に語りはじめる
呪文のような言葉たちに
白状するね
僕には教えることなど
ほんとは何もない
算数の答えは置いといて
後ろの黒板に
チョークで白い雲を画く
すると一面
青麦畑の海が開ける
「青麦畑」より