【絶版】身の闇名古屋哲夫詩集
- 著者
- 名古屋哲夫
- サイズ
- A5判
- 頁
- 294ページ
- 製本
- ハードカバー
- ISBN
- 978-4-86000-152-0 C0092
- 発行日
- 2008/09/20
- 本体価格
- 3,000円
【 完売しました 】
時空を超えて
翔けることば
ひょいと後(うしろ)を向いたあの馬は
かつてまだ誰も見た事のないものを見た
(シュペルヴィエル「動作」・堀口大学訳より)
「身の闇」の詩篇の一つ一つを読みこむ度に、シュぺルヴィエルの時間を跨ぐ馬が振り向くのである。おそらく、その馬のふりむく所作の作法と、彼の詩法に共通のものがあるらしい。ふり返り、闇を透過して見つめる眼差しのとらえるものは、言うならば、我々が常に見逃している、今という瞬間の一回性と永遠性であろう。
名古屋さんの文体は。シュぺルヴィエルの神話的な馬のように、どこかひょうひょうとしていて、ユーモアさえ感じるのだが、どっこい、こんな凄味のある現代詩はないのである。
(左子真由美)
はまる
どっぷり
つかりこんで
その道が
見えている
すじが通る
ひとには見えない
己れだけに見える
まっくらやみのなかに
すじ
一本